第3回 図書館サポートフォーラム賞受賞

深井 人詩 氏

深井人詩氏をかこんで
【受賞のことば】
 このたび「第3回図書館サポートフォーラム賞」を、いただきました深井人詩でございます。表彰されましたことを、ありがたく光栄に存じております。受賞理由は、ご紹介のように「日本における「書誌の書誌」の構築と、研究会活動を通じて図書館界に貢献した功績」とあります。
 「書誌の書誌」の構築とは、各種の図書・雑誌に掲載された特定テーマの文献目録・書誌の所在を記録し、それを利用しやすく配列し「3次文献」として発表する仕事です。これを研究者が活用すると、文献資料の調査に、時間と労力を、節約するとされております。先進諸国では、一国学術文化のレベルを表現するものとして、国家機関や有力図書館団体が定期的に刊行しているものでもあります。
 1967年から、この記録を、古書業界誌『日本古書通信』の「最近の書誌図書関係文献」欄に、毎月2頁100件余を連載、1982年から増補して『書誌年鑑』にもなり、今日に至りました。この記録事業は、戦前京都大学に、戦後関西大学にいらした天野敬太郎先生が、昭和初年から記録を始め、有名なベスターマン編『世界書誌の書誌』初版発行以前、1933年大阪の間宮商店から『本邦書誌ノ書誌』として発行、1935年から東京堂の『出版年鑑』に年刊連載、1940年から『日本古書通信』に月刊連載、戦時中断ののち再開して、1967年から深井にまかされました。
 受賞理由にあります「その研究会活動」にあたるものとしては、「書誌の書誌」が文献調査に役立つかどうか、実験する研究会を作ったことでしょう。中途挫折しないように、私立大学図書館協会の活動規約による研究分科会として、1971年から月例会を開催「書誌作成」「書誌調査」「文献探索」と会名変更しつつ会員は既成書誌に学び、各自テーマで文献探索をし、書誌及び抄録書誌を作成、それを『書誌メモ1971-1988』340件、『書誌調査1989-1996』8冊、『文献探索1997-1999』3冊として発行するとともに、別表のような書誌専門家講演会や、専門図書館見学会を開催して、今年2001年、1971年発足以来30周年を迎えております。
 1977年から、日外アソシエーツ社に事務局を置き発足した日本索引家協会の幹事として機関誌『書誌索引展望』編集長を3年半、書誌索引文庫担当10年、またこうしたことから私立大学図書館協会書誌索引賞審査委員10年、物集高見索引賞審査委員3年、その後勤務先早稲田大学と紀伊国屋書店共同のデータベース作成要員4年を経て、1997年選択定年制により早稲田大学の図書館勤務40年、図書館学教員15年で、退職いたしております。
 この間、日外アソシエーツ社がご発行のものに『書誌年鑑1982〜2000』19冊、『人物書誌索引1979・1994』2冊、『主題書誌索引1981・1994』2冊、『日本雑誌総目次要覧1985・1995』2冊、『図書館学情報学研究文献要覧1983・1993』2冊、『図書館学会年報総目次総索引1985』など。日本図書館学会の『図書館学会年報1972〜1991』付録「図書館学年次文献目録」は編集20年、データ提供や解説をした日本図書館協会からの『日本の参考図書解説総覧1980』、東京堂出版からの『辞書解題事典1977』、金沢文圃閣からの『雑誌新聞文献事典1999』、『図書館学関係文献目録集成戦前編2000』への参画が、「図書館界に貢献した功績」にあたるかと思われます。
 いうまでもなく、35年間のこうした書誌事業と関連の仕事は、深井一人で出来たわけがなく、皆さんのご協力、ご支援によって成し遂げられたものであることは、手伝った皆さんがよく、ご存知の通りであります。そういうわけでこの受賞は、関係者全員に与えられたのものであり、何かとお願いした者として、この機会に改めて皆さんのご協力に心からの御礼を申し上げます。
 そして「地味な仕事」とよくいわれる、この書誌事業に注目して、表彰してくださったLSFの諸先生方に、重ねて厚く御礼申し上げる次第です。
深井 人詩氏

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