挨拶 山ア久道 氏(図書館サポートフォーラム代表幹事)


 本日は図書館サポートフォーラム賞の表彰式に足をお運びいただき、誠にありがとうございます。図書館サポートフォーラムの代表幹事を仰せつかっております山崎久道と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 この図書館サポートフォーラム賞は、本日会場にいらっしゃっている初代の代表幹事である末吉哲郎さんが、当会を起ち上げるのと合わせて始められた賞でございます。図書館に関連する賞は様々なものがありますが、この図書館サポートフォーラム賞は、できるだけ個人を対象に表彰することで出発しました。その時に3つの柱を立てました。毎回話していることで、ご承知の方も多いと思われますが、大事なポイントですので、改めてご説明させていただきます。

 第1点は、図書館の専門性と云いましょうか。図書館やそれに類する機関の中で、職員としての専門性を発揮しながら、こつこつと地道に仕事を続けられ、非常に高い成果・業績をあげられた方を表彰しようというものです。

 第2点は、図書館の国際化と云いましょうか。とかく日本人は国際的に発表したり、様々なことをアピールするのがどうも苦手なようでして、そういった国際会議の場で提案しても、予想外の反応が返ってきて、票決の場で負けたりする。当然それではダメなわけで、そういった中で国際的な活動や、それに貢献されてきた方を顕彰しようというものです。

 第3点は、図書館の社会性と云いましょうか。そういった社会的価値を世間に広く発信されたり、身をもって実践されてきた方を顕彰しようというものです。

 よく図書館を社会的共通資本であるとみなす意見があります。この社会的共通資本というのは、もうお亡くなりになりましたが、ノーベル賞に最も近かった経済学者といわれた、宇沢弘文先生が提唱された概念です。私はこの社会的共通資本という概念を、図書館にあてはめるべきだと、ずっと思っていました。どういうことかというと、図書館は社会の役に立って、そして皆の生活を豊かにするために存在している。しかも公共の利益のために存在する。ですからそこで働く専門家によって運営されなければならないし、利益を単一目的にしてはいけないといわれるわけです。そういう意味で、図書館は非常に社会的存在であるわけです。

 また図書館というのは、人間の何世紀にもわたる知恵が、延々と築かれてきた宝庫でございます。しかもそれがきちっと整理をされていることが、インターネット上の情報資源との大きな違いです。もちろんインターネット上の情報資源は非常な価値がありますが、図書館は図書館で、きちっと情報や資料があらかじめふるいにかけられ、整理されているという価値は非常に大きいですし、私たちはそのことにもっと自信をもつべきだろうと思います。

 こういった専門性、国際性、社会性といった三つの観点を柱にして、表彰活動を行っております。

 この後、水谷表彰委員長が校務欠席のため、代理として松下表彰委員からお話をされると思いますが、表彰選考の結果、今回も素晴らしいお二方の表彰者をお迎えすることができました。お二方ともこの3つの柱のうち、2つぐらいには必ず適合する、文句のつけようのない評価を得て、表彰することとなりました。この会は大変ささやかな会ではございますが、これを起爆剤として、日本の図書館界のみならず、社会全体における図書館の位置づけが少しでも高められるように、活動を続けていけたらと思います。今後とも、皆様に様々な形でご協力を願えれば幸いです。

 以上をもちまして、表彰式のご挨拶とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。