日外アソシエーツ
グローバルスタンダードに則った本格的な記録管理の解説書!
今、なぜ記録管理なのか=記録管理のパラダイムシフト
内部統制・情報公開―記録管理が組織の浮沈を握る!
著 者: 小谷允志〔著〕 今、なぜ記録管理なのか=記録管理のパラダイムシフト
定 価: 本体3,500円+税
刊行年月: 2008年9月
ISBN: 978-4-8169-2137-7
判型・頁数: A5判・260頁
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内 容: 国際基準に則った本格的な“記録管理”の解説書。従来の“文書管理”の問題点と改善策を探り、コンプライアンス、説明責任、デジタル化をふまえた方向性を提示。現代社会で求められている“記録管理”がわかる。企業法務の第一人者、長谷川俊明弁護士との対談も収録。
著者略歴:
小谷 允志(こたに・まさし)
1936年生まれ。神戸大学法学部卒。(株)リコーを経て、現在、文書・記録管理のコンサルティング会社、日本レコードマネジメント(株)レコードマネジメント研究所所長。記録管理学会会長、ARMA(国際記録管理者協会)東京支部理事。
著 作
『情報公開制度の新たな展望』(共著)((財)行政管理研究センター 2000年)
『文書管理と情報技術』(共著)(日本経営協会 2007年)
『トータル・ファイリングシステムとe文書』(共著)(日本経営協会 2007年)
『入門・アーカイブズの世界』(共訳)(日外アソシエーツ 2006年)
あとがき:

 日本における文書・記録管理の環境が大きく変わりつつある。記録管理の後進国であったわが国においても、ようやく記録管理の重要性が認識されようとしている。その最も大きな動きが、2008年の初めから始まった国の公文書管理制度改革への取り組みである。本文でも触れたが、福田首相が2008年1月、国会での施政方針演説の中で、この問題を取り上げた後、翌月には「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」が設置され、7月には同会議の中間報告が首相に提出された。10月には最終報告書が出され、2009年初めの通常国会には、これを基にした公文書管理法(仮称)案の提出が予定されている。

 この有識者会議は中間報告まで4カ月、実にスピーディに審議が進められたが、その内容もまた実に意欲的で素晴らしいものであった。もちろん多くの課題が存在する。公文書管理担当機関の具体的な体制・権限をどうするのか、レコードマネジャー・アーキビストといった専門職をどう育成するのか、電子文書化の問題にどう取り組むのか等々である。それよりもっと大きな問題は、予想される霞が関の抵抗を排し、ここで示された理念や方向性がどこまで法制化され、施行段階で実行に移されるかである。しかしながら、中間報告に筆者が長年主張してきた文書管理の目的は説明責任にあること、現用と非現用文書の一元的な管理、レコードマネジャーの専門職体制の確立などの基本的な考え方が盛り込まれたことは、喜びに堪えない。

 文書管理法制定という、われわれ文書管理関係者の夢が実現に大きく近づいたことは間違いなく、尾崎護座長を始め有識者会議のメンバーに心より敬意を表したい。国の文書管理改革が進めば、自治体もこれに準ずることになろうし、民間企業への伝播も期待できる。そうなれば日本の文書・記録管理が国際的なレベルに一歩近づくことになり、2008年はわが国の文書・記録管理にとって記念すべき年となるわけだ。

 ここで民間企業の文書管理の環境変化に触れておくと、こちらは官公庁と違った問題に直面していると言える。その一つが、労働環境の変化である。つまり終身雇用制の崩壊、非正規社員の増加等により、組織に対する忠誠心が失われる一方、団塊の世代の退職等により、組織から高度な技術やノウハウが失われるという危機に直面しているのである。今までは教育レベルが高い優秀な社員によって支えられ、何とかなってきた文書管理も、これからはそうは行かなくなって来るのは目に見えている。国の公文書管理改革に倣い、民間においても真剣な改革を行わないと重要な文書・記録が全く残らないという事態になりかねないのである。ぜひ国の取り組みを参考にして、この際、本格的な文書・記録管理の仕組みを構築して欲しいものである。

 実を言うと筆者個人にとっても2008年は、偶然だが、いささか記念すべき年となっている。その一つは、初めて国際的な記録管理者の協会であるARMAの年次大会(ボルチモア大会)へ参加したのが、ちょうど20年前の1988年だったのである。その時に味わった強烈な印象は正にカルチャーショックであり、今でも忘れない。まず世界各国から2,000名もレコードマネジャーが参集し、かくも盛大な大会を開いているのに驚いたが、これはとりもなおさず専門職としてのレコードマネジャーの職能が確立し、社会的にも認知されていることを意味しており、このことがもっと印象深かったのである。しかも参加者の60%が女性で、協会の役員を含めこの分野で女性が大活躍していることにも感銘を受けたのであった。また大会の帰りに訪問したロッキード社のレコードマネジャー、ウイリアム・べネドン氏が取締役なのにも驚いたが、同社のレコードセンターが体育館の何倍もあるような巨大な施設であったことも印象的だった。というわけでこの出張旅行は正に驚きの連続だったのである。そして翌1989年、筆者はまだリコー勤務の時代だが、日本レコードマネジメント(株の山下貞麿社長らと共にARMA東京支部を設立することになる。

 2008年が記念というもう一つは、(社)行政情報システム研究所の雑誌『行政&情報システム』に筆者が連載しているコラム「文書と記録のはざまで」がこの8 月で、ちょうど50回目を迎えたのである。2002年11月号の第1 回以来、この文書・記録に関する時評的なコラムを6年間にわたり書かせてもらったことになる。ちなみに第1 回目のタイトルは「日本の文書管理の課題」だったが、最新の第50回は「公文書管理・有識者会議の中間報告を見て」となっている(その間、誌名も2007年4月、『行政&ADP』から現在のものに変更となり月刊から隔月発行に変わった)。

 実は、この連載を始めたのはひょんなきっかけからであった。その頃、当研究所の理事で事務局長をされていた渡邊浩太郎氏に、「日本で文書管理を普及させるために何か良い方法はないですかね」と相談を持ちかけたことがある。「小谷さん、それはあなたが雑誌に書くことだよ」、これがその時の渡邊氏のえだったのである。このようなきっかけで、この連載が始まったのであるが、当初は正直言って、ネタが続くかどうかが心配であった。それが書き始めるとあまりネタには不自由しなかった。それだけ日本の文書管理には課題が多かったということなのかも知れない。ともあれ渡邊氏と当時の理事長百ア英氏(元総務庁事務次官)のお二人は文書管理の問題にとてもご理解があり、ARMA東京支部の活動にも、大変ご協力をいただいたのである。心より感謝申し上げたい。

 最後に、筆者が記録管理についての経験や考え方を深めるために、今までお世話になった数多くの方々に心より感謝申し上げると共に、本書をまとめるにつき献身的なご協力を頂いた編集者の朝日崇氏に心よりお礼を申し上げる次第である。

 2008年8月

小谷 允志

目 次:
今、なぜ記録管理なのか―序に代えて
1.政府記録に関する不祥事:年金記録など
2.民間企業の不祥事:食品偽装
3.民間企業の不祥事:品質関連の事故
4.組織の隠蔽体質と記録管理
5.今、なぜ記録管理なのか
第1章 日本の文書管理の問題点
1.グローバル・スタンダードとの関連で
2.日本での文書・記録に対する考え方
3.文書と記録の違い
4.文書管理と記録管理はどう違うのか
5.法制度・体制から見た問題点
6.日米国立公文書館比較
7.民間企業における文書管理の問題
8.文書管理専門職の育成
第2章 記録管理のパラダイムシフト
1.記録管理のパラダイムシフトとは
2.これまでの文書管理とその背景
3.これからの記録管理
4.パラダイムシフトを促進する要因
第3章 説明責任と文書管理―情報公開法制を中心に―
1.説明責任(アカウンタビリティ)の意味
2.アカウンタビリティの起源
3.アカウンタビリティと情報公開法
4.情報公開法制と文書管理
5.行政機関情報公開法における文書管理
6.「行政文書の管理方策に関するガイドライン」
7.記録管理の国際標準ISO15489とアカウンタビリティ
8.アーカイブズと説明責任
9.民間企業における説明責任
第4章 記録管理の目的
1.説明責任(アカウンタビリティ)を果たす
2.知識管理(ナレッジマネジメント)を行う
3.危機管理(リスクマネジメント)を行う
第5章 国際標準に則った記録管理プログラム
1.記録管理の要求事項
2.記録の品質(良い記録の要件)
3.記録管理プログラムの作成
4.記録管理方針の明確化
5.記録管理の責任の明確化
6.記録のライフサイクル管理のルール作り
第6章 電子文書管理の課題
1.電子文書をめぐるオフィスの現状
2.問題の背景
3.電子文書管理の課題
4.電子文書管理の方向とその留意点
5.電子メール記録の管理をどうするか
6.電子文書管理の今後の方向
第7章 内部統制のための記録管理
1.日本版SOX法「金融商品取引法」のインパクト
2.サーベンス・オクスレー法(SOX法)とは
3.サーベンス・オクスレー法を制定させたエンロンの破綻
4.SOX 法と記録管理の関係
5.日本でも同様の不祥事が多発
6.日本版SOX法「金融商品取引法」
7.新会社法の内部統制
8.会社法施行規則による内部統制の細則
9.金融商品取引法・新会社法が求める記録管理
第8章 対談―文書、コンプライアンス、リスクマネジメント、ディスコロージャー
  ―長谷川俊明、小谷允志
内部統制の周辺
手続的正義、ということ―プロセスをもってプロセスをチェックする
文書管理規程の形骸化
文書管理の専門職、レコードマネジャーの必要性
訴訟社会と文書
製造物責任―製造記録をいつまで取っておくか
戦後補償問題のケース
電子メールの管理、情報のデジタル化への対応
記録の品質―真正性、完全性、信頼性、利用性
本音の出る電子メール
今後の文書管理
第9章 情報セキュリティと記録管理
1.情報セキュリティと記録管理
2.情報セキュリティと情報リスク
3.情報の機密性をめぐるリスク
4.情報の完全性をめぐるリスク
5.情報の可用性をめぐるリスク
6.まとめ:記録の不正な取扱いを防ぐには
第10章 文書管理の専門職
1.「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の動き
2.文書管理の専門職(レコードマネジャー)の役割・機能
3.文書管理専門職(レコードマネジャー)の資質・能力
4.記録情報管理の基本能力(コア・コンピタンシー)
5.CRM(認定記録管理者)資格認定制度
参考文献
索引(事項・人名)
あとがき


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