及川 孝之 氏(埼玉県立久喜図書館館長) 受賞のことば


及川孝之氏(埼玉県立久喜図書館館長) 埼玉県立久喜図書館、館長の及川でございます。


 まず、先週4月14日からの熊本県、大分県の地震により、大変な被害が続いております。

 被災された方々に、心よりお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧をお祈り申し上げます。


 さて、この度は、図書館サポートフォーラム賞という栄えある賞をいただき、誠にありがとうございました。私ども職員一同、大変光栄に思っており、重ねてお礼申し上げます。


 埼玉県の県立図書館は、熊谷図書館と私ども久喜図書館の2館体制でございまして、先月の3月23日から、この2館で新たなスタートを切ったばかりです。

 このような時期に、受賞できましたことは、私どもにとりまして大いなる励みとなっております。

 埼玉県立図書館の変遷を簡単に申し上げますと、平成14年度までは、浦和、熊谷、川越、そして久喜の4館体制のもとに、地域分担型で運営しており、各図書館で、事務用としてレファレンス記録のデータを蓄積しておりました。


 一方、平成8年ごろから、埼玉県も御多分にもれず、「県立図書館のあり方を見直そう」ということになりまして、今後の在り方を検討しておりましたが、この間、市町村の図書館の整備が進んできたこともあり、県立図書館の再編整備も合わせて検討されました。

 その際、これまでの地域分担型の運営から、主題別の専門図書館、言い換えますと資料を分担分野別にした図書館に再編することになりました。これが、平成15年度のことです。

 その後、様々な経緯があって2館体制となり、現在、熊谷図書館では、「社会科学、産業、人文科学」等の分野を担当するほか、ビジネス支援サービスや地域行政サービス等に力を入れております。

 そして、久喜図書館では「自然科学、芸術、文学」等の分野を担当するとともに、子供の読書活動の推進や健康・医療情報サービス、障害者サービスに力を入れているところです。


 話が県立図書館の紹介となってしまいましたが、平成15年当時、当館では、この主題別図書館という特徴を生かした新たなサービスを模索していたところに、国会図書館レファレンス協同データベース事業の事務局様から、事業参加のお話をいただきました。

 当館では、このお話をお受けして、「国立国会図書館レファレンス協同データベース事業」の事務局の方のご指導により、他の県立図書館と連携しながらレファレンス事例を集約・整理し、平成16年3月にレファレンス事例データの一部を登録して参加館となりました。

 そして、翌年の平成17年12月までに、これまで蓄積してきたデータ約5,500件、新規のデータ約300件を登録し、県立図書館のレファレンス事例データがウェブサイトに公開されるに至りました。


 「レファレンス協同データベース」上で、当館のレファレンス事例が公開されますと、他の図書館や一般の方から登録事例についての情報提供がございました。

 レファレンス回答時には出版されていなかった新しい資料や、当館では所蔵がなく未調査だった資料の情報、時には個人の実体験による情報もお寄せいただきました。

 いただいた情報は、典拠を確認して追記しており、一度完結したレファレンス事例をブラッシュアップすることを可能にしているのが、この事業の効用の一つと思っております。


 また、先ほど当館の表彰事由として被参照件数が、国会図書館を除き、8年連続全国一というご紹介をいただきましたが、昨年度は、約345万件のアクセスがございまして、多くの方にご覧いただき、調査研究に役立っていることは、職員の励みとなっております。

 そこで、当館の一般公開事例で、最も多くの方にアクセスいただいている事例を紹介させていただきますと、「右利きの人と左利きの人の割合を知りたい」という事例です。この調査結果を申し上げますと、右利きの人の割合は90%以上ということがわかります。

 詳細は「レファレンス協同データベース」でご覧いただくと、さらにこの事例のアクセス数がアップしますので、是非ともご覧ください。


 埼玉県立図書館運営の基本方針の一つに、専門的な資料・情報や地域資料等を収集、蓄積し、県民の調査研究に対する支援機能を充実するという項目がございます。

 本日の受賞は、これまで埼玉県立図書館が一体となって取り組んだレファレンスサービスの活動が高く評価されたものと改めて感じているところです。

 図書館のレファレンスサービスの利用が更に多くなるよう、この受賞を機に図書館サービス、及びレファレンスサービスのより一層の充実に努めてまいりたいと存じます。

 本日は誠にありがとうございました。