表彰講評 水谷長志 氏(表彰委員会委員長)


 図書館サポートフォーラムの表彰委員長をしております跡見学園女子大学の水谷と申します。よろしくお願いいたします。

 早速ですが、第22回図書館サポートフォーラム賞の表彰結果について、ご報告いたします。

 審査は3月17日、大森の日外アソシエーツにおいて7名の出席幹事による投票および2名の不在幹事の通信投票、あわせて9名の幹事による投票で行いました。その結果、推薦の個人3件、いずれも図書館サポートフォーラム賞にふさわしいご業績としてお三人様が受賞されることになりました。

 本来であれば、受賞理由についてより詳細な講評をお伝えすべき所ですが、今回はコロナ禍により、表彰式開催自体を半年近く遅らせたことに加え、参加者人数も抑えての式となっておりますので、表彰理由の読み上げのみに留めさせていただきます。ご了承下さい。

 では、今回第22回図書館サポートフォーラム賞の受賞者お三人について、まず矢野陽子様の表彰理由を読み上げます。


 ○矢野 陽子〔公益社団法人 全国市有物件災害共済会 防災専門図書館 司書・学芸員〕

 矢野陽子氏は防災専門図書館の司書・学芸員として、特に母体組織への図書館広報および防災・災害に関する調査機能の発現において、その図書館力を有効に活用し、東日本大震災、度重なる台風、そして新型コロナウィルスなど息つく間もなく押し寄せる災害に対峙するため、専門情報提供サービスを展開してきた。その結果、市民の防災意識の向上に貢献し、利用者数も劇的に増加させている。これらは、専門図書館の使命と進むべき姿をあざやかに示す活動であり、まさに図書館サポートフォーラム賞にふさわしく、高く評価して表彰するものである。


 次いで、鳥海恵司様の表彰理由を読み上げます。


 ○鳥海 恵司〔(株)トッカータ 取締役〕

 鳥海恵司氏は、東海大学附属図書館職員時代から現在所属する(株)トッカータに至るまで、一貫して音楽資料のMARCレコード及び書誌・典拠データベースの構築とシステムの標準化に携わってきたことにより、音楽図書館や公共図書館、国立国会図書館などに貢献してきた。また、「音楽資料目録作成マニュアル」(1997年)、「音楽資料用件名標目表」(1998年)、「日本目録規則2018年版 典拠データ完全実例集」(2019年)など音楽資料目録作成の基本的ツールを提供してきた。近年ではRDA(Resource Description & Access)への動きを先取りし、音楽資料目録への適応とその普及のために積極的な活動を行い、図書館界に大きな影響を与えている。こうした半世紀にわたる貢献と功績は、まさに図書館サポートフォーラム賞にふさわしく、高く評価して表彰するものである。


 最後に、林淑姫様の表彰理由を読み上げます。


 ○林 淑姫(りん しゅくき)〔近代洋楽史研究者/旧日本近代音楽財団日本近代音楽館 主任司書〕

 林淑姫氏は、遠山音楽財団附属図書館、日本近代音楽館、音楽図書館協議会、及び和歌山県立図書館南葵音楽文庫等の活動を通して、明治期以降のわが国の音楽資料の収集、調査研究、目録作成に携わり、「山田耕筰作品資料目録」(遠山音楽財団附属図書館)、「日本の音楽コレクション」(音楽図書館協議会)、「近代日本刊行楽譜総合目録 洋楽編」(国立国会図書館DB)などの編纂・公開の中心的役割を担った。楽譜出版史・音楽図書館史の観点から研究を進め、明治期以降の洋楽史研究に新たな領域をひらいた。これら一連の活動によってわが国における音楽資料の全体像を明らかにした功績は、まさに図書館サポートフォーラム賞にふさわしく、高く評価して表彰するものである。


 以上をもちまして、簡単ではございますが、今回の図書館サポートフォーラム賞の表彰者のご紹介とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。